四季めぐるの評論日記

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琉球舞踊 四つ竹

琉球舞踊になじみのない人でも『四つ竹』を知っている人はいるのではないだろうか。黄色の紅型と「琉球花笠」と呼ばれる赤い花をモチーフにした帽子を被った女性が踊る舞踊である。『四つ竹』は、祝儀舞踊で御座所で踊ることのできる喜びを表した舞踊である。

 

特徴的なのは踊りながら四つ竹を演奏することにある。四つ竹は竹でできた打楽器で、カスタネットのように打ち合わせて鳴らす楽器だ。

踊っている最中、2拍に1回のペースでカチカチと規則正しく打つ。その音を聴いていると段々と心地よい感覚になってくる。この心地良さはなんなのだろうか。それは子守歌のリズムと同じだからと考えている。親が子をあやす時赤ん坊の背中をやさしくたたく。そのリズムは2拍に1回のペースなのだ。おそらくこの拍はヒーリング効果があるのだろう。スローテンポで常に一定の拍子は安心感をもたらす。祝儀舞踊にはぴったりのリズムであるといえるだろう。このリズムが舞踊の魅力のひとつであることに違いない。

 

もう一つの特徴は四つ竹の演奏する手を魅力的に見せる振付だ。演者が四つ竹を叩くときには叩く手が観客に見せるように工夫されている。叩く時、必ず手を固定する。固定してから打ち鳴らすことで、演奏していることが強調される。

また、手を見せるために、上下左右、あらゆる空間にアクセスする。その手と空間の関係性を見ているだけでも楽しい。手の動きだけではなく時にひざを曲げることによって、体全体の高さを変更することによってもそのバリエーションを増やしている。いかに観客に飽きさせず演奏する手を観客に見せるかという思想がこの作品の醍醐味と言ってもいいだろう。

 

音と動きにおける美の追及がこの作品の魅力といってもいい。心地のよさを追求した2拍1回のリズムと演奏する手を見せることで動きの美、このふたつが混じりあって美しさの相乗効果を産んでいるのである。この美の追及が親しみやすさ、華やかな雰囲気を醸し出す。だからこそ、これまで親しまれているのではないだろうか。